適応障害の診断書: 必要性、内容、取得方法まで徹底ガイド

会社や学校など自分の置かれた環境に慣れないことから、強いストレスを感じて社会生活に支障をきたす状態になるのが「適応障害」です。

ストレスの原因が明らかなのが特徴のため、原因から離れることで症状の改善が見込めます。

ただし、適応障害を治すためには、休職・休業をして治療に専念する必要があります。

休職・休業する際に、提出書類として必要になるのが「診断書」です。

適応障害の診断書には病名のほか、必要な休職期間や医師からの環境調整の提案などの詳細が記載されています。

そのため適応障害の診断証明としてだけでなく、カウンセリングやサポートをしっかり行うためにも診断書は重要です。

本記事では、適応障害の診断書の必要性や記載内容、取得方法までご紹介します。

診断書の使用シーンなどもあわせてご紹介するので、適応障害の可能性がある人や休職を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。

適応障害の診断基準

画像引用元:適応障害の症状・原因・治療法|リコタツ発達ナビ

まずは、適応障害の症状や特徴、診断基準について解説します。

精神疾患にはうつ病や不安障害など症状が近いものもあるので、ここで適応障害の基本を押さえておきましょう

適応障害の主な症状と特徴

適応障害は、自分の置かれた環境にうまく慣れないなどの強いストレスが原因で、社会生活に支障をきたす状態になることです。

ストレスの原因がはっきりしているので、原因を改善することで症状が改善する可能性が高い疾患です。

誰でも発症する可能性がある心の病気で、うつ病の手前の状態といわれています。

以下のように、生活環境が大きく変わったときに発症しやすいのも特徴の一つ。

  • 就職・転職・昇進
  • 学校の入学・進学・転校
  • 結婚・離婚・出産
  • 一人暮らしのスタート

結婚や昇進など、周りの人からするとポジティブな出来事でも、適応障害が発症する原因になることも。

適応障害を発症すると不安感や抑うつ気分などの症状が見られたり、不登校・出勤拒否・対人トラブルなどの問題につながったりする可能性があります。 

適応障害には、以下のような「精神的」「身体的」「行動的」の症状が挙げられます。

精神的な症状 不安・抑うつ・イライラ・思考力/集中力の低下・無気力・悲壮感・焦り・神経の過敏・混乱・赤ちゃん返り(指しゃぶり・赤ちゃん言葉)
身体的な症状 不眠・食欲不振・全身の倦怠感・涙が止まらない・動悸・肩こり・腹痛・頭痛・過呼吸
行動的な症状 無断欠勤・無断遅刻・早退・仕事の停滞・不登校・過剰飲酒・暴食・ギャンブル中毒・喧嘩・無謀な運転・器物破損・引きこもり

さらに、不安が強くなり緊張がより高まると「ドキドキする」「汗をかく」「めまいがする」という身体的な症状が見られることもあります。

適応障害の症状は一時的なものが多く、長くは続かないのも特徴です。

そのため、転職や転校をするなど環境を変えることで症状の改善が見込めます。

万が一、症状が6ヶ月以上続く場合は、うつ病など他の病気の可能性があることも知っておきましょう。

適応障害の療養期間・睡眠

ここでは、生活療法で大切な期間と睡眠についてご紹介します。

適応障害の自宅療養においては、「服薬治療」「心理療法」と同じくらい生活療法が重要です。

自宅療養はただ休めばいいわけではないので、適応障害を完治させるためにも期間と睡眠について確認しておきましょう。

適応障害の療養期間

適応障害の自宅療養は、1ヶ月程度の短期間はあまり望ましくありません。

疲弊した心身を回復させたうえで、再発の予防をするためには時間が必要なので、3ヶ月程度の長期間休むことが重要です。

以下のステップで、復職に向けて3ヶ月間で少しづつ体力を回復させましょう。

時期 やること
休息期(1ヶ月目) 徹底的に何もしない
何もしないことを重視する時期
何もしないことは復職するためと割り切る
仕事・復職について考えることはNG
仕事に関するものはすべてシャットアウトする
活動期(2ヶ月目) 自分にとって楽しいことを得る時期
体力の回復させる
再発の防止に努める
休息期にチャージした体力を使用して楽しみながら活動範囲を少しづつ広げる
完全に体力は戻っていないので無理は禁物
復職準備期間(3ヶ月目) 休職する原因
心理療法などで、不安やストレスになる原因への対処法を学んで復職を目指す
これまでの考え方や捉え方を変える方法を学ぶ

療養期間の睡眠

適応障害の自宅療養では、規則的な睡眠をとることも症状改善のためには重要な要素です。

睡眠には深い眠りの「ノンレム睡眠(脳の眠り)」と浅い眠りの「レム睡眠(体の眠り)」があります。

体の疲れは浅い眠りでも回復できますが、脳の疲れは深い眠りでないと回復しません。

精神的な疲労を回復させるためには、いかにノンレム睡眠の状態を長く保てるかがポイント。

ノンレム睡眠の状態を保つためには、以下のように習慣や睡眠環境・睡眠対策を心がけましょう。

質の高い睡眠のための習慣 快適な睡眠のための環境 年代別の睡眠対策
・3食規則正しく食べる
・適度な運動を毎日行う
・夜はリラックスした時間を過ごす
・喫煙をやめる
・カフェインを摂らない
・飲酒は適度にする
・毎日の起床時間を一定にする
・眠れないときは寝床から起きる
・二重窓やカーテンで光を遮断する
・部屋の照明を消して真っ暗にする
・温度設定を変更する
・部屋の湿度を50〜60%にコントロールする
・寝具やパジャマを変える
・アロマオイルを寝具やカーテンに吹きかけておく
若年層:規則正しい睡眠習慣を身につける(夜更かししない)
勤労層:睡眠不足にならないために工夫をする(睡眠時間が短かった翌日は短時間でも仮眠をとる)
シニア層:無理して寝ようとしない(眠くなったら横になる・日中に適度な運動をする)

精神医学における適応障害の診断基準

精神疾患には、適応障害以外にもうつ病や不安障害など多くの病気があります。

そのため、適応障害の診断をするときは診断基準「DSM-5」や「ICD-10」を使用するのが一般的です。

  • DSM-5:アメリカ精神医学会が作成している精神疾患のみ対象の判断基準
  • ICD-10:世界保健機関(WHO)が作成している疾患全般が対象の国際的な判断基準

診断基準をもとに、熟練の医師が本当に適応障害なのか、うつ病・不安障害・PTSDなど症状が似ている他の疾患ではないかを判断します。

適応障害におけるDSM-5の判断基準は、以下のとおりです。

DSM-5の診断基準
以下のA〜Eをすべて満たす必要がある。
A.はっきりとしたストレス因のため、ストレスが始まって3ヶ月以内に症状が出現。
B.症状は以下のうち少なくともどちらかの証拠がある。
C.ほかの精神疾患では説明できない。
D.その症状は正常の死別反応では説明できない。
E.ストレス因やその結果がひとたび終結すると,症状は6ヶ月以上持続することはない。

該当すれば特定
・急性:その障害の持続が6ヶ月未満
・持続性(慢性):その障害が6ヶ月またはより長く続く

精神疾患の診断・統計マニュアル アメリカ精神医学会 Washingtor,D.C.,2013(訳:日本精神神経学会)

 

 

「ICD-10」における適応障害の診断基準は、「DSM-5」と内容はほとんど同じです。

また、判断基準をもとに診断できるのは熟練の医師のみで、一般人が自己判断するのには使用できません。

適応障害の診断に必要な臨床的評価や評価ツール

適応障害を診断するときは、複数の質問に答えるだけで今の状態がわかる適応障害テストを導入している病院が多いです。

なかには、AIが状態を判断するAIチェックを導入しているクリニックもあります。

  • 適応障害テスト(チェックシート)
  • AIチェック

どちらも「学校や会社に行きたくない」「イライラする」「疲れを感じる」など、簡単な質問に答えるだけで今の状態を把握できます。

しかし、正確な診断ができるわけではないので、適応障害の可能性があるか確認する際に利用するようにしましょう。

なお、適応障害は問診で判断するのが一般的なため、多くの病院やクリニックでは医療機器は使用しません。

ただし、体の状態をチェックするために血液検査を行う病院やクリニックはあります。

適応障害の診断書の内容

画像引用元:社員がうつ病で診断書を持ってきたら|日本橋茅場町こころのクリニック

ここでは、適応障害の診断書に記載されている基本情報をご紹介します。

適応障害の診断書には何が書かれているのか、しっかり確認しておきましょう。

適応障害の診断書に記載される基本情報

適応障害の診断書には、主に以下の項目が記載されています

  • 病名もしくは病状
  • 初診の日付
  • 病状の経過
  • 具体的な治療内容
  • 医師が判断した必要な休職期間
  • 通院の間隔もしくは入院期間
  • 医師からの環境調整の提案
  • 治療指導の内容

上記は一例であり、会社の規定や病状によって主治医と相談することで、項目が増えることもあります。

また、休職中も通院はするため病名もしくは病状が変更されることもある点には注意しましょう。

なお、休職期間中も病状の経過や復職について職場と連絡をとります。

そのため、本人もしくは代理人と職場の連絡方法や間隔についても、診断書に記載されることがあります。

診断の詳細や医師の所見

適応障害の診断書には、病名だけでなく診断の詳細や医師の所見が記載されているのが特徴です。

診断の詳細では、病状の経過や具体的な治療内容、必要な休職期間などが記載されています。

そのため、適応障害と聞いただけではどんな症状なのかわからない人でも、診断書を見ればすぐに病状を理解できます。

企業や学校は症状を理解することで、適応障害になった人にどう対応するかの参考にもなるでしょう。

また、病状に対する医師の判断や意見も記載されているため、病名だけよりも説得力が増すのもポイント。

一般社会では心の病に対していまだに根強い偏見があり、理解が浸透していないのが現状です。

医師の所見を記載することで、職場復帰やその後の社会生活を妨げられるリスクの回避にもつながります。 

治療方針や医師からの推奨

適応障害の診断書には、治療方針や環境調整など主治医からの提案も記載されています

具体的な記載内容は、以下のとおりです。

  • 労働時間の見直し
  • 残業・夜勤・出張の制限
  • 配置転換
  • 復帰後の通院の必要性

基本的に、適応障害になった人のストレスを減らすためのアドバイスが記載されているのが特徴です。

適応障害を患った人に対して、職場が復帰に向けてどんな環境に変更するべきかを確認できます。

診断書の取得方法

画像引用元:一般健康診断|医療法人 佐藤医院

ここからは、適応障害の診断書の取得方法をご紹介します。

適応障害で企業や学校を休むときは、診断書の提出を求められることが多いです。

いざ診断書を発行する際、スムーズに取得するためにもしっかりチェックしておきましょう。

診断書を取得するためのステップバイステップの手続き

適応障害の診断書は、主に以下の手順で発行してもらえます。

  1. 予約申し込み
  2. 来院・受付
  3. 問診票記入
  4. 医師の診察
  5. 血液検査
  6. 会計
  7. 診断書・診療明細書・処方箋の受け取り

クリニックによっては予約申し込みの際に会員登録を行うことで、当日スムーズに診断書を発行してもらえます。

また、問診票の記入はオンラインで実施しているところも多いため、オンラインに対応している場合は来院前に記入して提出しておくのがおすすめです。

なお、診断書は会社に提出すると手元に残らないので、事前にコピーを取っておきましょう。

必要な書類や情報の準備

適応障害の診断書を発行してもらうのに、書類や情報などを事前に準備しておく必要はありません

来院してから問診票を記入し、診察で心と体の不調やストレスの要因などを詳しく医師に伝えるだけです。

ただし、心療内科は保険が適用されるので、保険証は持参して来院しましょう。

また、必要であれば以下の2点も持参してください。

  • 自分の症状や状態をまとめたメモ
  • 会社指定の診断書

自分の状態をうまく伝えられない人は、自分の症状や状態をまとめたメモを持参すると医師とスムーズに話せます。

今の状態を詳細に伝えられると医師も正確に診断できるので、用意できる人はメモを持っていきましょう。

また、提出する会社や学校で診断書に指定の様式がある場合は、受診するときに持参してください。

診断書の取得にかかる費用や期間

適応障害の診断書を取得するまでにかかる期間は、病院によって異なります。

基本的には、初診であっても当日すぐに発行してもらえる病院やクリニックが多いです。

ただし、なかには数回受診したあとでなければ発行しない医療機関もあり、2週間前後の日数が必要になる可能性もあります。

また、診断書を発行してもらうためには費用がかかります。

診断書の発行費用の相場は、2,000〜6,000円程度です。

診断書の発行費用は全国一律ではなく、病院・クリニックごとに異なる点には注意しましょう。

また、診断書の記載内容によって費用は大きく異なり、内容が複雑になるほど高額になる傾向にあります。

医療機関によっては公式サイトに、「診断書料金のご案内」などを記載しているところもあります。

費用が気になる方は、事前に公式サイトを確認するか電話で問い合わせてみましょう。

なお、診断書の発行費用は医療保険の対象外で、全額自己負担になるので注意してください。

診断書の活用シーン

画像引用元:会社に診断書を出せと言われた!|退職代行の教科書

ここでは、適応障害の診断書がどんなシーンで活用できるのかをご紹介します。

適応障害の診断書は、どんな場面で必要なのかわからない方はチェックしてみてください。

職場や学校での使用例

適応障害が原因で休職する場合、職場に診断書を提出する必要があります。

企業側は診断書をもとに症状の状態を確認し、休職期間や環境の調整など、今後のことについて話し合います。

スムーズに休職するために、またストレスのない環境作りを行うためにも診断書を使用します。

また、適応障害を理由に学校を休学する際も同様に診断書の提出が必要です。

多くの学校では、休学願の書類に医師の診断書を添付する形で提出します。

企業・学校が病状の確認をするために必要になるので、休職・休学する際は診断書を必ず用意しておきましょう。

法的手続きや申請時の利用

適応障害で休職する際に、以下の補償や手当金が適用される場合は手続きに診断書を使用します。

補償・手当金 支給内容
作業補償の適用 労働災害と認定されると労働基準監督署から休業補償給付が支給される
傷病手当金の適用 健康保険に加入している人が働けなくなった際に給付金が支給される

ただし、作業補償が適用されるためには条件を満たす必要があります。

また精神疾患による労災認定率は30%程度と高くないうえ、認定されるまでに7ヶ月〜1年ほどかかる点には注意してください。

作業補償の適用条件は、以下のとおりです。

補償名 適用が認められる条件
作業補償(3つの条件を満たす) 1.労災認定の対象である精神疾患であること
2.発病前の約6ヶ月間に職務において強い心理的負荷が認められること
3.発病が個人的な問題ではないこと

なお休業補償と傷病手当金の併給はできないため、休業補償が適用されると傷病手当金は支給されません。

もし傷病手当金を先に受け取っていた場合は、作業補償が給付されると返還しなければいけないので注意しましょう。

サポートやカウンセリングの際の役立て方

適応障害の診断書には、病状や医師からの環境調整の提案などが記載されています。

会社の産業医やカウンセラーとのカウンセリングや、上司との話し合いも診断書の内容をもとに行われるため、サポートするうえで欠かせません

診断書の内容を参考に、企業側は以下のようなサポートを行います。

  • 試し出勤を実施する
  • 業務内容の調整・変更
  • 配置の転換

適応障害の診断書は、復職したときストレスのない環境を作るためにも役立ちます。

適応障害の再発を防止するためにも、休職する際に用意しておきましょう。

注意点と誤解を避けるための情報

画像引用元:イラストエイト

ここからは、適応障害の診断書における注意点と誤解を避けるための情報をご紹介します。

注意点を把握することでリスクを回避できるので、ぜひチェックしてください。

診断書を不適切に使用するリスク

適応障害の診断書を不適切に使用すると、再発のリスクがある点には注意しましょう。

精神疾患の場合、心身が疲弊している時期は安静にして治療に専念したうえで、社会復帰に向けてリハビリを行います。

診断書の内容をしっかり反映して治療を行わず、「元気になった」「環境が変わった」など、感覚で治ったと思うと再発する可能性が高いです。

そのため、診断書の内容を参考にしっかりカウンセリングを行い、休職期間や環境調整を決めることで適応障害の再発を防止できます。

適応障害と診断された場合は、まず診断書に記載されている内容をもとにサポート体制を整えることが大切です。

診断書の情報を正確に伝えるためのポイント

適応障害で休職する際は、会社に適応障害になった原因や、治療・リハビリに専念するために休職を検討しているなど、最低限の情報を伝える必要があります。

以下、3つの情報を会社に伝えるといいでしょう。

  • 休職する理由
  • 受診した日時・病院名
  • 病名もしくは病状・診断内容

また、適応障害で会社を休職する場合、職場の上司や管理職に直接手渡しで伝えるのが一般的です。

しかし、適応障害の原因が会社の業務や人間関係であった場合、直属の上司には直接伝えづらいこともあるでしょう。

その場合は、手紙やメールで伝えるのがおすすめです。

さらに将来復職したときのことを考慮して、職場の同僚に知られたくない人は人事労務担当に連絡して上司のみに伝えてもらうこともできます。

なお、休職を伝える方法は職場の規則に取り決めがあることも多いので、規則に沿って伝えるようにしましょう。

診断書の期限や更新に関する情報

適応障害に限らず診断書の期限は、一般的に発行してから3ヶ月といわれています。

診断書はあくまで現在の状態を診断した証明であり、病状は日に日に変わっていくものです。

時間が経つと同じ病名になるとは限らないため、診断書には3ヶ月の期限があります。

また、診断書は現在の状態の診断を証明するものであることから、適応障害の診断書には更新はありません。

適応障害の診断書についてよくある質問

画像引用元:よくある質問|医療法人 湘育会 おおえ内科クリニック

最後に、適応障害の診断書についてよくある質問をご紹介します。

気になる項目がある人はチェックして、診断書の発行前に疑問を解消しておきましょう。

診断書はどこで発行してもらえる?

適応障害の診断書を発行してもらうには、精神科もしくは心療内科の医療機関に依頼しましょう。

特に精神科・心療内科の両方に対応できる病院がおすすめです。

心と体のどちらの不調にも対応できるので、より正確な診断をしてもらえるでしょう。

診断書はすぐにもらえる?

適応障害の診断書は、初診でも当日にもらえる病院やクリニックが多いです。

ただし、医療機関によっては数回受診してから発行するところもあり、2週間前後の日数が必要になることもあります。

発行までに日数がかかる場合は、後日受け取りに行くか郵送してもらい診断書を取得します。

診断書の費用は会社が負担するの?

適応障害の診断書を発行するとき、費用は個人が負担するのが一般的です。

ただし、提出した診断書の内容に疑問がある場合、会社が指定する医療機関を受診して診断書を発行してもらうこともあります。

その場合は、費用は会社が負担するケースが多いです。

また適応障害の原因が労災と認められると、診断書の発行費用は労災保険の負担となるため、費用を負担する必要はありません。

診断書がもらえないケースは?

適応障害の症状が見られないと医師が判断した場合は、診断書をもらえないこともあります。

診断書は病院に依頼すると必ず作成してもらえるものではなく、診察を担当した医師が診断書の必要性を判断して発行する書類です。

自分は心身ともに不調を感じていても、医師が診断書の発行は必要ないと判断するともらえない可能性があります。

診断書を提出して休職できる期間は?

病状や経過によって異なりますが、1〜3ヶ月休職することが多いです。

さらに治療に専念する必要があると判断された場合は、休職期間を延長するために追加で診断書を発行してもらいます。

診断書を取得するタイミングは?

診断書を取得するタイミングとしては、以下のケースが挙げられます

  • 適応障害で休職するとき
  • 適応障害を理由に業務内容を調整するとき
  • 福祉制度を利用するとき

適応障害を理由に休職や業務内容を調整する場合、病気の証明に加え、本人の希望や医師の判断を会社へ伝えるために診断書を取得します。

また、「自立支援医療」「障害者手帳」「障害年金」などの福祉制度を利用する際も、診断書が必要なので取得するタイミングです。

診断書に強制力はあるの?

会社側は診断書の指示に従う義務はないため、強制力はありません

ただし、適応障害と診断された社員に対して適切な対応をせずに病状が悪化した場合は、会社側が安全配慮義務違反に問われる可能性はあります。

そのため、会社側は診断書の内容を参考にして、適切なカウンセリング・サポートを行うことが重要です。

診断書の提出は義務なの?

法的には診断書の提出は義務ではありませんが、会社の規定上は提出は義務といえます。

労働基準法には診断書の提出についての規定はないため、会社を長期間休んでも社員は診断書を提出する必要はありません。

ただし、労働基準法に規定がなくても、会社の就業規則に明記していることが多いです。

そのため、会社の規定上は診断書を提出する必要があります。

就業規則に明記されているのに、診断書の提出を拒否した社員に対して解雇が認められた判例もあるので、休職する際は診断書をしっかり提出しましょう。

診断書に記載されている環境調整は具合的にどのようなことですか?

適応障害になった人が復職するために、会社側が対応するべきことが記載されています。

記載されている具体的な内容は、以下とおりです。

  • 労働時間の変更
  • 残業・夜勤・出張の制限
  • 配置転換
  • 通院の必要性

基本的に、適応障害になった人にストレスを与えないためのアドバイスが記載されています。

まとめ

画像引用元:労災コラム|弁護士法人グリーンリーフ法律事務所(埼玉弁護士会所属)

適応障害の診断書には、病名や病状以外にも以下の項目が記載されています。

  • 病名もしくは病状
  • 初診の日付
  • 病状の経過
  • 具体的な治療内容
  • 医師が判断した必要な休職期間
  • 通院の間隔もしくは入院期間
  • 医師からの環境調整の提案
  • 治療指導の内容

医師が判断した休養期間や環境調整の提案などをもとに、企業と話し合いを行います。

そのため、診断書は適応障害であることを証明するだけでなく、カウンセリングやサポートを行うためにも重要です。

また診断書の取得は、以下の手順で行えます。

  1. 予約申し込み
  2. 来院・受付
  3. 問診票記入
  4. 医師の診察
  5. 血液検査
  6. 会計
  7. 診断書・診療明細書・処方箋の受け取り

初診でも当日に発行してくれる病院やクリニックが多いですが、なかには数回受診しないと発行してくれないところもあります。

できるだけ早く企業に提出して休職したい人は、当日発行してくれるか事前に確認しておきましょう。

また、診断書は使用方法や期限に注意して使用してください。

診断書に記載されている内容をもとに、しっかりカウンセリング・サポートを行わないと再発するリスクが高くなります。

熟練の医師が提案する休職期間や環境調整を参考に、しっかり企業と話し合うことが大切です。

さらに適応障害の診断書には、3ヶ月の期限がある点にも注意しましょう。

診断書は現在の状態を診断した証明であり、時間が経過すると病名が変わることもあります。

そのため、発行から3ヶ月以上経過した場合は病院やクリニックを受診して、改めて診断書を取得してください。

適応障害の可能性がある人や休職を検討している人は、本記事で紹介した内容を参考に休職手続きを行ってみてください。

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